映画の果実



去年のアカデミー賞で、助演女優賞を受賞した
メリッサ・レオ主演作品(わたしの予想は外れた)。

受賞作「ザ・ファイター」は観ていないが、
予告や映像を見ていて、授賞式に現れた彼女の姿が
あまりにも違っていたので、驚いたのを覚えている。

そんな彼女の主演作品だわ。と思って、
以前、WOWOWで放送されていたので観た。

オープニングから、完全ノックアウト!

震える手でたばこを吸いながら、切羽つまった
やりきれない感情が、5秒で伝わった。
なんて素晴らしい女優が、まだアメリカにはいるんだ。
と、彼女の存在を今までスルーしていた自分を反省。

ふと調べて見たら、この作品でも主演女優賞にノミネートされていたのね。
いやいや、そりゃそうだろ。
こんなにいい女優、そんじゃそこらにいないぜ。


カナダとアメリカの国境境にある、N.Y.州最北部の町。
セントローレンス川を挟み、モホーク族の保留地がある。

メリッサ扮するレイは、ギャンブル依存症の夫に、新居を買うためのお金を持ち逃げされ、
2人の息子を育てながら、1ドルショップで働き、トレーラー暮らしをしている。
もう、この事実が、彼女の表情からありありと痛感させられる。

どうしようもない現実、来る日も来る日も、同じ毎日。

そんな彼女はある日、夫の車を見つける!
腹立たしさと、悲しみと、混乱と必死さの、このメリッサの表情がまたいい!

夫の車を運転していたのは、モホーク族の女で、
事故で夫を失い、義母に連れて行かれた自分の子供を取り返すため、
密入国者を運ぶ裏仕事をしていた。 そう、あの凍った川を渡って。。

家を買うため、家族を養うため、レイはその女と
その仕事を共謀し始める。



映画の果実



とにかく、スリリングで、かつ愛がだんだんとあふれ出す
素晴らしい作品だ。

女という生き物、アメリカの現実、
守るとは何なのか。 何から守るのか。
強く生きることは、どういうことなのか。

激しく心揺さぶられ、何度も観たくなる。

凍てつく川(フローズンリバー)を、溶かしていくような彼女たちの姿。
きっと、春は、どんなところにも訪れるのだ。