映画の果実


世界でも知名度がある、三池監督作品。

少人数の正義と、大勢の巨悪の対決。



ストーリーはシンプルで、エンターテインメントとしては
とても楽しめる作品ではないでしょうか。

三池監督らしい、ちょっとえげつない描写とバイオレンス、そしてユーモアとエロさは、
彼の特徴に慣れていなければ、目を伏せがちになるところ。

幕府きっても暴君、松平斉昭を抹殺するというミッションのために、
選出された十三人の侍(と、野人)。

狙うは、斉昭の首のみ。
このミッションに命をかける彼らの姿がしびれる。

この作品で彼ら刺客は、死を迎えることをわかっているのだ。
彼らは、正義のためだが、死に場所を探し、選んだといえる。

果たしてそれらが、男の答えとして格好いいとは、もちろん言わない。
けれども、彼らが自分に課したミッションを、ただただ、実行するだけに
後に死んでゆく姿は、いわゆる正義ではないだろうか。


そして、忠実であろうとする男たちの姿。
それは、暴君に仕える男(市川正親)も、志は同じだ。


やはり、この作品は後半の死闘は、とても引き込まれる。
「怖い。」というところがある。
あのシーンがとても、印象的だ。
死を怖がったのは、彼だけなのだ。

もう少し、十三人を招集するくだりなど、印象深いエピソードなど
1人1人に描ければ、より、濃いヒューマンドラマとして描けたのではないかなぁ。
と、ちょっと残念。

それに、どうして、斉昭を抹殺を決意したのか。
いくら、手足、舌を切られた女を目にし、数々の残虐な斉昭の実態を
聞かされたとはいえ、自らの命を捨てる覚悟を、どういいう風に決断したのか。
もう少し、葛藤(自問自答など)や、そこにある、いわゆる武士道の背景を
知りたかった(し、描いてほしかった)。

それから、暴君斉昭の人物像も。
ひたすら、狂気を押し出していたようだけれど、
彼を守る家臣と、斉昭の信頼性も、もう少しといったところ。


映画の果実


でも、さすが、個性的で力も備えた役者を揃えているだけに比例した、
演技を、役者がみせてくれる。

特筆すべきは、やはり役所広司と稲垣吾郎だろう。

稲垣吾郎は、SMAPの影も形もない。
役者稲垣であり、涼しげに抹殺を愉しむ様子は、本当に不気味で
最後の、『もがき』も、完璧に斉昭だった。
すごいなー。  間違いなく、木村拓哉ではできないと思う。


そして、役所広司って、本当にいい俳優だ。
熱い男や、こういった泥臭さも、清潔感ある生真面目も、しみったれた
どうしようもない同情男や、色香を漂わせる男に、ひょうひょうとした愉快な男まで、
演じることができる。

個人的には、渡辺謙より、いい俳優だと思う。


そして!! 何といっても、松方弘樹の殺陣の素晴らしさ!!
これは、さすがです!! 
一人だけ、キレも抜群で、めちゃめちゃサマになっています。
素人にもわかるほどで、ずーーーっと見てたくなります(笑)。



サムライ魂を感じてみてはどうでしょうか。