ずっと観たかった映画を、映画館で観る事ができたので、
久しぶりに、ブログを書いてみる。
前哨戦から各賞を受賞し、アカデミー主演女優賞も受賞した
ナタリー・ポートマンの演技が、とにかく光る!
ナタリー扮するニナというバレリーナが、念願かなって
「白鳥に湖」のプリマに選ばれる。
そこから、彼女を溺愛する母の異常な愛憎と、長年プリマに君臨してきた
絶対的女王からの反感と憎しみ、ニナと真逆に存在するライバル。
そして、自分自身。
彼女を取り巻くすべてのものが、プリマというプレッシャーに拍車をかけ、
追い詰められていく。
まず、明るくバレエが大好きな少女が、壊れていく。
というものではなく、そもそも物語りが始まる前から、
ニナは、追い詰められているのがわかる。
冒頭から、彼女はおどおどして、不安定。
そのシーンから、ナタリーは素晴らしい。
もともと華奢な彼女が、この役のために
さらに、痩せてコケたナタリーは、ちょっと「シャレード」の
オードリー・ヘプバーンのようである。
繊細で美しく、弱々しい白鳥には充分だが、
艶やかで野生的で、挑発的な魅力を放つ黒鳥をどうしても演じきれないニナ。
この役どころが、ナタリー自身の俳優苦悩と重なり、
わたしは見ていて、ニナというよりナタリー自身がもがく姿にうつる。
「レオン」で鮮烈なデビューを飾るも、出演する作品(ハリウッド映画)での
彼女は、正統美人の女の子。
美人だけど、華やかさがなく、「クローサー」なんかで
ストリップをやってみたりするものの、存在感が出せず、
どうしても、「レオン」のマチルダが良かったね~。となってしまっていた。
人気も高いし、批評家やメディアからの受けもいいナタリーだけども、
彼女自身は、行き詰っていたのではないか・・・・・。
と、本作を見て思ってしまった。
黒鳥を演じるには、自分自身を解放してあげるのだ。
と、やたらと男女の関係を迫るコーチ。
もしかして、もしかすると、
美(芸術)には、本当に必要なのではないだろうか。
女優もSEXシーンなどをすると、自分自身で一皮むけた。
という人が少なくはない。
女性はやはりそこに、何かあるのかもしれないですね。
バレエのように、芸術を要するスポーツ(フィギュアや新体操など)には
技術だけでは表現できない、何かが上手さには必要であることは間違いないでしょう。
ニナは常におびえる。
映画はその軸をいっこうにぶらしません。
彼女が幾度かすれ違う、自分自身。
自信に満ち溢れ、挑発的なその彼女は、
白鳥のニナが欲してやまない、黒鳥のニナ・・・・。
そうした中で、現実と錯乱からみる妄想が入り混じる。
という映画。
あながち、フィクションだと片付けられないストーリーかもですね。
こういった世界では、ありえるのではないでしょうか。
ダーレン・アロノフスキー監督は、「レスラー」でも思ったが、
キャスティングが絶妙ですね!
驚くのは、ウィノナ・ライダーの使われ方。
これまた、彼女自身のようで・・・・・。
私たち、ウィノナが絶対的彼女だった世代からすると、
違った意味で、おぞましいです・・・・。
チャイコフスキーの音楽と、純粋さと狂気。
観ているものはグイグイ、引っ張られます。
ナタリーの熱演は、体当たりじゃないところがいいね。
きちんと、表現できていて◎。
これからも、アロノフスキー監督に期待します!